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読んだ本

  • 加藤典洋(2015)『敗戦後論ちくま学芸文庫

    • 敗戦後論」(1995)「戦後後論」(1996)「語り口の問題」(1997)という連続する三篇を収める。「敗戦後論」では以下のような議論が展開される。すなわち、「義のない」戦争による死者をいかに弔うかという問題の回避(右派による「英霊」の美化)、および現行憲法が武力を背景に否応なく受け容れられたものであるという事実の無視(左派の「護憲」言説)、要するに敗戦者であるという自覚の欠如、がある「ねじれ」を生み、ために戦後日本においては歴史形成の主体が(したがってアジアの被侵略国への謝罪主体も)成り立ちえなかった。現行憲法制定にいたる経緯が、太平洋戦争の死者と日の丸が、「汚れている」、という自覚から出発しなければならない。ちなみに本論のヒーローは美濃部達吉大岡昇平で、「戦後後論」のそれは太宰治、「語り口の問題」ではアーレントが主役である。
  • クレア・ビショップ(2016)『人工地獄』フィルムアート社

    • 20世紀の参加型芸術について論じたもの。理論的な記述が歴史叙述を挟む構成になっており、前者についてはとりわけランシエールが参照されるのだけど、ここはあまり追えていない。歴史叙述は厖大な数のプロジェクトを丁寧に分析しており勉強になった。未来派、プロレトクリト、ダダ、シチュアシオニスト・インターナショナルからポスト冷戦期の "delegated performance" (展覧会を前提としたアマチュア演者中心のパフォーマンス)や教育に関する芸術プロジェクトまで。
  • 濱野智史(2008)『アーキテクチャの生態系』NTT出版

  • 福沢諭吉(1978)『福翁自伝岩波文庫、新訂版

    • 存外に明治期の記述が少ない印象を受けた。Critical edition として松沢弘陽編『福沢諭吉集』があり、この編者解説には本書が一身独立という理念を根柢において物語られている(他方この筋から外れた事実は無視されている)次第が指摘されている。