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宇野重規『保守主義とは何か』

通読

保守主義」をそのライヴァルから規定されるものと捉え、フランス革命社会主義大きな政府、との対比に一章ずつを充てて描く。第四章では日本における保守主義(の欠如)が論じられる。主に取り上げられるのは、バーク、エリオット、ハイエク、オークショット、フリードマンノージック

特にバークにはウェイトが置かれていて、他の保守主義者の記述においても、秩序ある漸進的改革を目指すかぎりでの保守主義、というバーク的視点が全体として保持されている(したがってド・メーストルのような反動主義者は取り上げられない)。日本における保守主義の欠如、と最初に書いたのも、この視点からの批判に他ならない。もっともこれ自体は特に目新しい論点ではないと思う。むしろ各々の思想家の一筋縄でいかないさまを描いているのが興味をそそられた。

各論として、ネオコンが元々転向したトロツキストだという話は知らなかった。「ニューヨーク知識人」に関しては矢澤修次郎『アメリカ知識人の思想』が参考文献に挙げられている。あと気になったのが伊藤博文陸奥宗光原敬明治憲法体制における「保守本流」とみなし、これが西園寺や牧野らの「重臣的リベラリズム」に受け継がれる、という話。