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『プラトン全集』第2巻

通読

『クラテュロス』『テアイテトス』を収める。なお後者はのちに岩波文庫にも入っている田中美知太郎訳。

『クラテュロス』

ヘルモゲネス・クラテュロスとソクラテスとの対話。名前の正しさを主題とする。まずヘルモゲネスが名前は人びとが各々勝手に付けたものであるという説を唱え、それに対してソクラテスは、名付けることには特別の知識を要すると指摘したのち、様々な名前の語源を示し、かつそれら複合語の各要素をさらに構成する字母について考察することで、これを論駁する。

次いでソクラテスはクラテュロスの説――名前は名前である限り事物の本質を示し、そうでないものは無意味な音の連続にすぎない――を吟味し、むしろ誤った名付けがありうること、また事物を認識するには名前ではなく事物そのものを検討すべきことを指摘する。また最後に、ヘラクレイトスの説を奉ずるクラテュロスに対して、美や善そのものは流動しないであろうと主張するが、この点については未決のまま終わる。

『テアイテトス』

テアイテトスが瀕死の状態で戦地からアテーナイに送還されたおりの、エウクレイデスとテルプシオンとの会話から始まる。テルプシオンはかつてソクラテスが出頭する直前にテアイテトス・テオドロスと交わした対話を記録しており、エウクレイデスの頼みに応じて下男にそれを朗読させる。その記録の内容が本篇である、という構造を取っている。

知識とは何か、を主題とする。はじめテアイテトスが「知識とは感覚である」という説を提示し、ソクラテスがこれを論駁する。次いでテアイテトスは「知識とは思いなしのうち真なるものである」という説を提示し、さらにこれが検討される。さらに発展させて「知識とは真なる思いなしに言論の加わったものである」という説が最後に提示され、これが吟味されてまた最後には斥けられる。さらに、挿入的なテオドロスとの対話におけるヘラクレイトス批判、ないし後半のテアイテトスとの対話における誤った思いなしがいかにして可能かということの吟味、などが、知識に関する以上の議論に絡み合ってくる。

プラトン全集〈2〉クラテュロス・テアイテトス

プラトン全集〈2〉クラテュロス・テアイテトス