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吉田『世論調査と政治』 / 岩本『世論調査とは何だろうか』 / 坂井『多数決を疑う』

通読

世論調査本を二冊読んだ。世論調査の結果を用いるときは質問内容と調査方式や回答率をちゃんと見ること、という話がどちらにもあり、当たり前だが銘記すべきだろう。あと、結局世論って何、という疑問は持っておいたほうが良いように思う。

『多数決を疑う』では、64%ルールの憲法改正への適用論について以前疑問を抱いた点がもう少し詳しく説明されていた。どうも熟議民主主義の実践から得られた知見が関わってくるらしい。合意には二種類あって、実質的な合意と、何が論点なのかに関するメタレベルでの合意。*1熟議の実践によってむしろ意見の分極化が生じる場合があることが確認されているのだけど、それでも少なくとも評価軸に関するメタレベルの合意は得られた、と見ることができる。そうして評価軸が定まれば、そこに選好の単峰性を仮定できる。評価軸が多次元にわたる場合でも単峰性の概念をしかるべく数学的に一般化できて、そのとき64%の得票があればコンドルセパラドックスは生じない……ということらしい。熟議を経るというのは一種の理想論だし、そうは言っても諸々の要因で単峰性が成り立たない場合はあるでしょう、とも思うが、しかしとりあえず隠れたサイクルが生じる可能性があるという指摘は重要だ。

世論調査と政治――数字はどこまで信用できるのか (講談社+α新書)

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