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由良君美『メタフィクションと脱構築』

冬休みに読んだ本について読み始めた順にまとめる。

メタフィクションと脱構築

メタフィクションと脱構築

本書は2部構成で、第1部はメタフィクションについて、第2部は英米の文学批評について書かれている。

そもそも現在のフィクションの典型であるヨーロッパ型小説の起源は18世紀通俗イギリス小説 (Novel) に求められ、それは18世紀始め (デフォー『ロビンソン・クルーソー』の刊行) からすさまじい発展を遂げるのだけど、同時にリアリズム手法の一つの限界が見えてしまい、40年後のスターン『トリストラム・シャンディ』においてついに正反対の《メタフィクション》の誕生を許すことになる、というのが基本的な史的理解。この辺の解説が非常に面白い。

その後、メタフィクションを自己再帰的 (self-reflexive) なものとして定義し、そこから最晩年期のフッサールの「生活世界」や後期ハイデガーを「メタフィクションへの意志」として捉え直し、ポスト構造主義におけるリゾームの模索などとの関連を指摘する。総じて「メタフィクションとは何か」という問いの明確な回答となっている。

それから具体的な〈反小説〉としてのSFや幻想文学について。『悪魔の詩』ってメタフィクションだったのか…。

第2部はまあそういう世界もあるのだなあという感じ。興味深くはある。帯にド・マン論と書いておきながらド・マンについてはファシズムへの関与の話しか載ってなかった気がする。