読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

11月のまとめ

どうせ記録忘れあるけど参考程度に。蝸牛の歩みで読み進めている本が多すぎるのもあり読了した本だけ記録しても何やってるのか全然分からないが、それにしてもこう見ると通読している本が絶望的に少ない。 読んだ本 ボエティウス(1969)『哲学の慰め』渡辺…

10月のまとめ

読んだ本 加藤典洋(2015)『敗戦後論』ちくま学芸文庫 C. ビショップ(2016)『人工地獄』フィルムアート社 濱野智史(2008)『アーキテクチャの生態系』NTT出版 福沢諭吉(1978)『福翁自伝』岩波文庫、新訂版 渡辺将人(2016)『アメリカ政治の壁』岩波新…

ボエティウス『哲学の慰め』

ボエティウス(1969)『哲学の慰め』渡辺義雄訳、筑摩書房。 ボエティウス(480?-524)の遺著。ボエティウスは若くして諸学をきわめ(『音楽教程』『算術教程』などをわずか20歳の頃に著している)、弱冠30歳にしてテオドリック王のもとで執政官となり、次い…

三田村泰助『宦官』

三田村泰助(1963)『宦官』中公新書 宦官とは何か、および宦官は中国史においていかなる歴史的役割を演じたか、を概説した本。1-2章では去勢法や人材の供給源から職務の詳細や男女関係にまで説き及び、3-5章では漢・唐・明において宦官がいかなる(負の・に…

高山裕二『トクヴィルの憂鬱』

高山裕二(2011)『トクヴィルの憂鬱』白水社 トクヴィルの評伝。フランス革命によって誕生した――シャトーブリアンを先駆者に持ち、ユゴー、デュマ、バルザックあるいはネルヴァルを含む――ロマン主義世代としてのトクヴィル、という視角から、彼の生涯の歩み…

渡辺将人『アメリカ政治の壁』

渡辺将人(2016)『アメリカ政治の壁』岩波新書 アメリカのリベラル諸派が2016年現在抱えている対立と障害を分析した著作。リベラル・保守ともにいかに一枚岩でないかということが分かる。 アメリカ政治の壁――利益と理念の狭間で (岩波新書)作者: 渡辺将人出…

読んだ本

加藤典洋(2015)『敗戦後論』ちくま学芸文庫 「敗戦後論」(1995)「戦後後論」(1996)「語り口の問題」(1997)という連続する三篇を収める。「敗戦後論」では以下のような議論が展開される。すなわち、「義のない」戦争による死者をいかに弔うかという問…

8-9月のまとめ

記録をさぼっていた二ヶ月分をまとめて記録するので遺漏などあると思うが致し方ない。見つけ次第更新する。 読んだ本 西尾雄太(2015)『アフターアワーズ』1巻、小学館 古川隆久(2015)『近衛文麿』吉川弘文館 マルグリット・デュラス(1992)『愛人』河出…

ネチケット史

ネチケットがどう変遷してきたかということを調べている。 とりあえず公立図書館で2001年までに刊行された関連書籍を集めてみたけど、多くは児童書で少数の表面的 Tips しか載ってない。ネットのことはネットで調べるのが良さそう。 例外的に以下は面白かっ…

高田里惠子『グロテスクな教養』

高田里惠子『グロテスクな教養』ちくま新書、2005年。 『文学部をめぐる病い』が戦前の男の教養主義に焦点を絞っていたのに対して、こちらはずっと幅広く近現代日本の多様な教養主義を扱っている。新書であることもあってか性格の悪さがよりストレートに文体…

宇野重規『保守主義とは何か』

宇野重規『保守主義とは何か:反フランス革命から現代日本まで』中公新書、2016年。 「保守主義」をそのライヴァルから規定されるものと捉え、フランス革命、社会主義、大きな政府、との対比に一章ずつを充てて描く。第四章では日本における保守主義(の欠如…

高田里惠子『文学部をめぐる病い』

高田里惠子『文学部をめぐる病い:教養主義・ナチス・旧制高校』松籟社、2001年。 幾人かの独文学者たちの蹉跌のさまを吟味して戦前の日本的教養主義の帰趨を描く。とりわけ中心的に槍玉に挙げられるのがヘッセの初の邦訳者にして戦時中には翼賛会文化部長を…

コルートス、トリピオドーロス『ヘレネー誘拐・トロイア落城』

3-6世紀に成立したトロイア戦争に関する叙事詩二篇。いずれもごく短いものでエピュリオンというジャンルに属するらしい。 ヘレネー誘拐・トロイア落城 (講談社学術文庫)作者: コルートス,トリピオドーロス,松田治出版社/メーカー: 講談社発売日: 2003/02メデ…

村田沙耶香『コンビニ人間』

村田沙耶香『コンビニ人間』文藝春秋、2016年。 ひといきに読み終えたけれど決して軽い本ではなかった。登場人物の誰にも共感はできないことは前提として、主人公は硬直的だが筋は通っている、「白羽」はずっと混乱しているけれども混乱の仕方が(主人公が正…

M. デュラス『愛人』

マルグリット・デュラス『愛人』河出文庫、1992年。 愛人 ラマン (河出文庫)作者: マルグリットデュラス,Marguerite Duras,清水徹出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1992/02/05メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 55回この商品を含むブログ (47件) を見る

黒田覚「象徴天皇制の意義と機能」

黒田覚「象徴天皇制の意義と機能」清宮四郎・佐藤功編『憲法講座1』(有斐閣、1964年)所収 「物」としての象徴は特定の抽象的意味内容を表現する。「物」の象徴的機能とは、その「物」を通してそれが示す意味内容の体験が強化されることであり、そのように…

ダメットの全体論批判(金子『ダメットにたどりつくまで』3章)

以下に関するメモ。内容要約。 金子洋之『ダメットにたどりつくまで』(勁草書房、2006年)pp.79-118. 古典論理的な推論実践を否定することがダメットの目標だが、そのために、まず論理の改訂を不可能とするタイプの議論への反駁が必要である。全体論はこの…

古川隆久『近衛文麿』

古川隆久『近衛文麿』吉川弘文館、2015年。 近衛文麿の伝記。意志薄弱で一貫性のない人物という従来の評価に反対して、自由主義者・国家社会主義者・アジア主義者として、「英米本位の平和主義を排す」発表時から思想的に終始一貫していたことを指摘し、むし…

『プラトン全集』4巻

『プラトン全集』4巻、岩波書店、1975年。 『パルメニデス』『ピレボス』を収める。 『パルメニデス』 全体はケパロスの独白。ゼノン・パルメニデス・ソクラテスの間の対話を、その場に居合わせたピュトドロスがアンティポンに伝え、さらにアンティポンから…

西尾雄太『アフターアワーズ』1巻

西尾雄太『アフターアワーズ』1巻、2015年。 アフターアワーズ 1 (ビッグコミックス)作者: 西尾雄太出版社/メーカー: 小学館発売日: 2015/10/07メディア: コミックこの商品を含むブログ (4件) を見る

7月のまとめ

読んだ本 マルグリット・デュラス『破壊しに、と彼女は言う』河出書房新社、1978年 『プラトン全集』第1-3巻・6-7巻、岩波書店 売野機子『しあわせになりたい』白泉社、2013年 平井玄『ぐにゃり東京:アンダークラスの漂流地図』現代書館、2015年 ギー・ドゥ…

アルベール・カミュ『異邦人』新潮文庫、1995年。 1942年に発表されたカミュの処女作。主人公ムルソーの一人称視点で綴られる。 異邦人 (新潮文庫)作者: カミュ,窪田啓作出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1963/07/02メディア: ペーパーバック購入: 21人 クリ…

『プラトン全集』第6-7巻

『プラトン全集』第6-7巻、岩波書店、1975年。 たまたま図書館で第4-5巻が借りられていたので先にこちらを読んだ。 第6巻 『アルキビアデス I-II』、『ヒッパルコス』、『恋がたき』を収める。訳者解説によればプラトンの真作と見なされているのは『アルキビ…

『プラトン全集』第3巻

『プラトン全集』第3巻、岩波書店、1976年。 『ソピステス』『ポリティコス』を収める。解説によれば、文体統計学的に見てこれらはいずれも後期対話篇に属し、とりわけ『ソピステス』は『パルメニデス』篇におけるイデア論の自己批判を受けて記されたもので…

志村貴子『青い花』第6-8巻

志村貴子『青い花』[Kindle版]第6-8巻、太田出版、2013年。 青い花(6)作者: 志村貴子出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2013/10/16メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 青い花(7)作者: 志村貴子出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2013/10/…

トノーニ&マッスィミーニ『意識はいつ生まれるのか』 / 志村貴子『青い花』第3-5巻

ジュリオ・トノーニ、マルチェッロ・マッスィミーニ『意識はいつ生まれるのか』亜紀書房、2015年。 志村貴子『青い花』[Kindle版]第3-5巻、太田出版、2013年。 トノーニの「意識の統合情報理論」については以下のレヴューも参考になる: 大泉匡史 (2014) 「…

志村貴子『青い花』第1-2巻

志村貴子『青い花』[Kindle版]第1-2巻、太田出版、2013年。 青い花(1)作者: 志村貴子出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2013/10/16メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 青い花(2)作者: 志村貴子出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2013/10/…

田中・山口『ネット炎上の研究』

田中辰雄・山口真一『ネット炎上の研究』勁草書房、2016年。 流し読みしただけ。情報発信の萎縮が第一義的なデメリットであるという意見には賛成できる。また炎上事件における直接攻撃者となる人間はユーザー全体の0.5%に過ぎない(個々の事件についてはさら…

『プラトン全集』第2巻

『プラトン全集』第2巻、岩波書店、1974年。 『クラテュロス』『テアイテトス』を収める。なお後者はのちに岩波文庫にも入っている田中美知太郎訳。 『クラテュロス』 ヘルモゲネス・クラテュロスとソクラテスとの対話。名前の正しさを主題とする。まずヘル…

J. ラカン『二人であることの病い』

ジャック・ラカン『二人であることの病い:パラノイアと言語』宮本忠雄・関忠盛訳、講談社学術文庫、2011年。 初期ラカンの論文五篇を収める。後年の晦渋な比喩や図式がほとんど顔を出していないこともあって、全体的にクリアーに書かれている印象を受ける。…

川上洋平『ジョゼフ・ド・メーストルの思想世界』

川上洋平『ジョゼフ・ド・メーストルの思想世界』創文社、2013年。 メーストルの摂理主義を近代の神義論の系譜に位置づけ、それを土台に彼の主権論を検討する。晩年の教皇主義への転向は摂理主義の挫折として解される。 6/24 に読了したものを記録し忘れてい…

マルクス、エンゲルス『共産党宣言』

K. マルクス、F. エンゲルス『共産党宣言』岩波文庫、1971年。 1847年発表のマニフェスト。第一章では基礎的な歴史理論が簡潔に述べられ、第二章では共産主義がプロレタリア階級へ関わり方が表明される。第三章では既存の社会主義が批判され、第四章では共産…

G. ドゥボール『スペクタクルの社会』

ギー・ドゥボール『スペクタクルの社会』平凡社、1993年。 50年代-70年代初頭のフランスで活動したシチュアシオニストの親玉ドゥボールの主著。アフォリズム集。特記すべきことなし。 参考: シチュアシオニスト・オンライン文庫 スペクタクルの社会 (ちくま…

平井玄『ぐにゃり東京』

平井玄『ぐにゃり東京:アンダークラスの漂流地図』現代書館、2015年。 東京で働く非正規労働者たちの生きざまを描くルポルタージュ。かつかつの仕事をこなし続ける派遣労働者の目線と東京の政治的・文化的地理をとらえる鳥瞰的な視線とが同時並行に伸ばされ…

『プラトン全集』第1巻 / 売野機子『しあわせになりたい』

『プラトン全集』第1巻、岩波書店、1975年。 売野機子『しあわせになりたい』白泉社、2013年。 『プラトン全集』第1巻 いわゆる第一テトラロギアに属する四篇を収める。『弁明』『クリトン』は岩波文庫の久保訳を持っていたので再読した形になる。 『エウテ…

M. デュラス『破壊しに、と彼女は言う』

マルグリット・デュラス『破壊しに、と彼女は言う』河出書房新社、1978年。 69年発表のテクスト。もっともそうであることは作品を読み終えてから知った。全体としてよく分からない。ステーン-アリサ-マックス・トルの間に一種の共謀関係が存在して、ともか…

6月のまとめ

読んだ本 吉田貴文『世論調査と政治:数字はどこまで信用できるのか』講談社+α新書、2015年 岩本裕『世論調査とは何だろうか』岩波新書、2015年 坂井豊貴『多数決を疑う』岩波新書、2015年 中井久夫『治療文化論』岩波現代文庫、2001年 ジョゼフ・ナイ『アメ…

伊波普猷『古琉球』

伊波普猷『古琉球』岩波文庫、2000年。 日本における沖縄研究の嚆矢。それまで時に意味内容さえはっきりとは知られなかったオモロや口碑・家譜を収集し、民俗学的に考究したもの。 いわゆる琉球処分に琉球と日本の政治的再結合をごく素朴に見出す態度が、同…

最近読んだ本

相変わらず不調。書誌情報を記すだけ。 ジョゼフ・ナイ『アメリカの世紀は終わらない』日本経済新聞出版社、2015年 前田愛『幻景の明治』岩波現代文庫、2006年 ソール・クリプキ『名指しと必然性』産業図書、1985年 内山勝利編『プラトンを学ぶ人のために』…

中井久夫『治療文化論』

中井久夫『治療文化論』岩波現代文庫、2001年。 今日の精神医学の営みを、広義の「治療文化」から捉えなおす試み。『西欧精神医学背景史』 を読み返す機会があり、水曜あたりにその参考文献として読んだ。『背景史』初読時は情報を満載した図表の数々に恐れ…

吉田『世論調査と政治』 / 岩本『世論調査とは何だろうか』 / 坂井『多数決を疑う』

吉田貴文『世論調査と政治:数字はどこまで信用できるのか』講談社+α新書、2015年。 岩本裕『世論調査とは何だろうか』岩波新書、2015年。 坂井豊貴『多数決を疑う』岩波新書、2015年。 世論調査本を二冊読んだ。世論調査の結果を用いるときは質問内容と調査…

5月のまとめ

読んだ本 マルセル・ゴーシェ『民主主義と宗教』トランスビュー、2010年 プラトン『プラトン全集』第10巻、津村寛二ほか訳、岩波書店、1975年 黒崎政男『カント『純粋理性批判』入門』講談社、2000年 フィリップ・K・ディック『高い城の男』浅倉久志訳、ハヤ…

坂井豊貴『社会的選択理論への招待』

坂井豊貴『社会的選択理論への招待』日本評論社、2013年。 社会的選択理論の概説書。第1章ではその歴史的背景(すなわちボルダとコンドルセの業績)を概観し、第2-4章では様々なルールを比較して利点と欠点を論じる。第5章はアローの不可能性定理を論じ、第6…

アセモグル、ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』

アロン・アセモグル、ジェイムズ・A・ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』上下巻、ハヤカワ・ノンフィクション文庫、2016年。 国家間の経済格差はいかにして生じるのか、という問いをテーマとする。この問いには既に様々な観点からの解答が試みられており…

吉野俊彦『歴代日本銀行総裁論』

吉野俊彦『歴代日本銀行総裁論:日本金融政策史の研究』講談社学術文庫、2014年。 初代から第31代までの歴代総裁を個別に論じたもの。1976年の著作。以降黒田東彦までの総裁についての鈴木淑夫による簡潔な補論を付す。 歴代日本銀行総裁論 日本金融政策史の…

P. K. ディック『高い城の男』

フィリップ・K・ディック『高い城の男』ハヤカワ文庫、1984年。 62年の作。連合国が枢軸国に敗北した if を描く。秀作。しかし結末がよく分からない。 『易経』が本書においてたんなるギミックをはるかに越える役割を果たしていることは衆目の一致するところ…

黒崎政男『カント『純粋理性批判』入門』

黒崎政男『カント『純粋理性批判』入門』講談社、2000年。 『純粋理性批判』の体系の構造を感性と悟性のせめぎあいという観点から解きほぐす入門書。 カント『純粋理性批判』入門 (講談社選書メチエ)作者: 黒崎政男出版社/メーカー: 講談社発売日: 2000/09/0…

『プラトン全集』第10巻

『プラトン全集』第10巻、津村寛二ほか訳、岩波書店、1975年。 「ヒッピアス」大小二篇と「イオン」「メネクセノス」を収める。メネクセノスを読むついでに他を読んだ。 プラトン全集〈10〉 (1975年)出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1975メディア: ?この商…

マルセル・ゴーシェ『民主主義と宗教』

マルセル・ゴーシェ『民主主義と宗教』トランスビュー、2010年。 現代に至るライシテの歴史を政治的観点から辿ったもの。政治と宗教やアイデンティティ・ポリティクスなどについて今後考えることになった時に読み返す。 民主主義と宗教作者: マルセル・ゴー…

4月のまとめ

読んだ本 大戸千之『歴史と事実』京都大学学術出版会、2012年 岡義武『岡義武著作集』1巻、岩波書店、1992年 ――『近代日本の政治家』岩波現代文庫、2001年 ジャン=ピエール・トレル『カトリック神学入門』文庫クセジュ、1998年 M. ヴェーバー『職業としての…