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11月のまとめ

どうせ記録忘れあるけど参考程度に。蝸牛の歩みで読み進めている本が多すぎるのもあり読了した本だけ記録しても何やってるのか全然分からないが、それにしてもこう見ると通読している本が絶望的に少ない。

読んだ本

買った本

  • R. Buxton, Imaginary Greece
  • M. Finley, Democracy Ancient and Modern
  • Essencial Peirce Vol. 1
  • B. W. Fortson, Indo-European Language and Culture
  • G. Vlastos, Socrates, Ironist and Moral Philosopher
  • L. Wittgenstein, Philosophical Investigation
  • W. サイファー『ルネサンス様式の四段階』
  • A. ベルクソン『意識に直接与えられたものについての試論』ちくま学芸文庫
  • J=J. ルソー『人間不平等起源論』

10月のまとめ

読んだ本

買った本

ボエティウス『哲学の慰め』

ボエティウス(480?-524)の遺著。ボエティウスは若くして諸学をきわめ(『音楽教程』『算術教程』などをわずか20歳の頃に著している)、弱冠30歳にしてテオドリック王のもとで執政官となり、次いで宰相に任ぜられて、プラトン的な理念のもと善政を行うよう努めるが、讒訴により死刑に処せられる。(背後にはローマ人とゴート人の緊張した関係もあったようである。このあたりの事情は訳者解説に詳しい。)本書は獄中で書かれたもので、この運命の急転を受けて失意のどん底にある著者を「哲学」の女神が慰めるという筋になっている。

運命(ないし摂理)が一見きわめて過酷であるにも関わらず結局は良いものであることを論じており、全体として神義論的な構成を取っているが、他方で議論は古代の伝統の影響を強く受けており、ジョン・ポーコックが述べるように、そのことは「彼のキリスト教信仰の、事実をではないにしても性質を、議論の余地あるものにしている」(The Machiavellian Moment, p.37)ように思える。「哲学」が主導して対話を進めてゆく形式もプラトンの対話篇を彷彿とさせる。因みに訳者によれば摂理および運命についてのボエティウスの考えはプロクロス(412-485)のそれに拠っているようである。

哲学の慰め (1969年) (筑摩叢書)

哲学の慰め (1969年) (筑摩叢書)

三田村泰助『宦官』

宦官とは何か、および宦官は中国史においていかなる歴史的役割を演じたか、を概説した本。1-2章では去勢法や人材の供給源から職務の詳細や男女関係にまで説き及び、3-5章では漢・唐・明において宦官がいかなる(負の・にも関わらず皇帝にとり不可欠の)役割を果たしたか、ということが詳述される。それにしても21世紀を生きる人間の貧弱な想像力には及びもつかないものがある。

宦官(かんがん)―側近政治の構造 (中公新書)

宦官(かんがん)―側近政治の構造 (中公新書)

高山裕二『トクヴィルの憂鬱』

トクヴィルの評伝。フランス革命によって誕生した――シャトーブリアンを先駆者に持ち、ユゴー、デュマ、バルザックあるいはネルヴァルを含む――ロマン主義世代としてのトクヴィル、という視角から、彼の生涯の歩みを描く。

トクヴィルの憂鬱: フランス・ロマン主義と〈世代〉の誕生

トクヴィルの憂鬱: フランス・ロマン主義と〈世代〉の誕生

渡辺将人『アメリカ政治の壁』

  • 渡辺将人(2016)『アメリカ政治の壁』岩波新書

アメリカのリベラル諸派が2016年現在抱えている対立と障害を分析した著作。リベラル・保守ともにいかに一枚岩でないかということが分かる。

読んだ本

  • 加藤典洋(2015)『敗戦後論ちくま学芸文庫

    • 敗戦後論」(1995)「戦後後論」(1996)「語り口の問題」(1997)という連続する三篇を収める。「敗戦後論」では以下のような議論が展開される。すなわち、「義のない」戦争による死者をいかに弔うかという問題の回避(右派による「英霊」の美化)、および現行憲法が武力を背景に否応なく受け容れられたものであるという事実の無視(左派の「護憲」言説)、要するに敗戦者であるという自覚の欠如、がある「ねじれ」を生み、ために戦後日本においては歴史形成の主体が(したがってアジアの被侵略国への謝罪主体も)成り立ちえなかった。現行憲法制定にいたる経緯が、太平洋戦争の死者と日の丸が、「汚れている」、という自覚から出発しなければならない。ちなみに本論のヒーローは美濃部達吉大岡昇平で、「戦後後論」のそれは太宰治、「語り口の問題」ではアーレントが主役である。
  • クレア・ビショップ(2016)『人工地獄』フィルムアート社

    • 20世紀の参加型芸術について論じたもの。理論的な記述が歴史叙述を挟む構成になっており、前者についてはとりわけランシエールが参照されるのだけど、ここはあまり追えていない。歴史叙述は厖大な数のプロジェクトを丁寧に分析しており勉強になった。未来派、プロレトクリト、ダダ、シチュアシオニスト・インターナショナルからポスト冷戦期の "delegated performance" (展覧会を前提としたアマチュア演者中心のパフォーマンス)や教育に関する芸術プロジェクトまで。
  • 濱野智史(2008)『アーキテクチャの生態系』NTT出版

  • 福沢諭吉(1978)『福翁自伝岩波文庫、新訂版

    • 存外に明治期の記述が少ない印象を受けた。Critical edition として松沢弘陽編『福沢諭吉集』があり、この編者解説には本書が一身独立という理念を根柢において物語られている(他方この筋から外れた事実は無視されている)次第が指摘されている。